慣れは怖い、取調室も慣れたもの(2/3話)

人間というのは慣れると恐ろしい。昨日まで青ざめて泣いていた女性たちが日が経つにつれ笑顔も見せるように。蛍光灯と格子の入った取調室も慣れてくると何のことはない(ドラマでよくある小さなランプはありませんでしたが)。

取り調べが行われ調書を取られ、それを英語で確認し、間違いなければ拇印を押す。
他の若い女性たちは全員全て白状しているのに、ただ一人ボス的存在の中年女性は絶対口を割らない。何度も来日しているツワモノらしい。

どこから話を切り込んでも辻褄をうまく合わしてくる。毎日の取り調べが1か月続いたある日に(1か月間私は毎日警察署へ出勤した感じ)、財布に入った幼児の写真を見ながら「誕生日はいつ?」など話していると急に泣き出しその娘に早く会いたいと言う。そこから全てを喋り始めて悩んでいた担当刑事さんも本当にホッとした様子。3人で「丼」を食べたような記憶もある。他の女性たちはすぐに強制送還されたようだが、このボス女性は何度も来日し悪質なので起訴され裁判に。

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